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搭と旅人
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作詞 フーセン |
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紫色の風が吹き
視界をけぶらせる
旅人は座りこんで
タバコをふかしてみせた
その町は寂れてて
人影はない
あふれるのは
死に満ちた冷たい空気
行きずりを生業とする
青年が話しかけてきた
「あんたは何を目指して
そんなこと してるのか」
旅人は煙はきながら
青年にこう返した
「この国の真ん中にある
塔に 用事があるのだ」と
「じゃあ」
青年はひとつ頷く
「あんたにはまた会いたいな」
旅人もまた頷き
その町を後にした
Vamos a prometer eterna
国を司るという
塔に何があるか
知るものは誰もいない
しかし行かねばならぬ
過去に嫌われぬよう
旅人の背中は
まるで罪人のようであった
セピア色の風が吹き
世界を染め上げる
少年は座りこんで
笛の音色を奏でた
そこにひとり少女がきて
踵を鳴らす
楽しげに口ずさむは
情愛のメロディー
幼い頃から共にいる
少女は少年に言った
「あの塔のことを知りたい
知りたいと 思わない?」
少年は空を見上げて
少女にこう返した
「行ってみよう。何があったって
僕が 守るから」と
「じゃあ」
少女はひとつ頷く
「あたしを守ってみせてよ」
少年もまた頷き
手を取って走り出す
Vamos a prometer eterna
秘密で閉ざされていた
搭に近づいて
その門を開けてしまった
吹き出した風がほら
少女を連れ去った
少年の呼び声は
ただ搭に響くだけだった
時が 過ぎて 少年は今
旅人になり 国をさまよう
搭に 消えた 過去を
この手に取り返す
その時まで
Vamos a prometer eterna
旅人は門の前に
「やっと会えた」と笑い
搭を見上げて言った
再び門が開いた
旅人を誘うよう
搭に響く声は
少年を呼んでいる
その町で 搭をみて
青年は息をつく
旅人は帰らぬまま
タバコの灰が流れていった
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