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夜空の夢旅
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作詞 吟花 |
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月が錆びる音を聞いた
埋もれるような草花に囲まれて
指先に触れるは冷えて湿った地の欠片
頬を凪ぐ夜風は凍える肌には生温い
見届けるは頭上を覆う紺色の空
足下に絡む蔦の鎖
眩暈を誘うほどに遠い、夜の月
現実を嘲笑うかのように瞬く星屑の海は
手を伸ばせば届きそうで
拳を握れば掴めそうで
ただ宙を彷徨うしかない指先を更に凍えさせた
不意に夜空を遮るように
視界が霞んだ
嗚呼、泣いているのか、と
気付けば留めどなく溢れ出る瞳の雫に
伸ばしたままの腕の先で、指先が震えた
純粋すぎるほどに澄み切った黒の空へ
呑み込まれそうな錯覚を覚えたまま
僕は花に覆われて葬られるように
静かに瞼を伏せた
ああ 僕の世界の総て
「おやすみなさい」
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