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顔
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作詞 悲喜仔 |
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どこからともなく
黒い、蜂のたぐいが飛んで来て
まっすぐ鼻先に向かってきたから
両手でパチンとぶっ叩いた
すると蜂はあっけなく落ちて死んだ
生き返って欲しくなくて
急いで踵で踏み付けた
それを見ていた大人たちが
「ほう、君は強いね」って言った
顔を見られたくなくて
急いで亡骸を摘み上げると
出口に向かって足速に歩いた
雨のボタボタ降る庭に棄てようとして、目が合った
潰れてひしゃげたその顔は
私に瓜二つだった
ああ、お前もそうだったんだね
他は誰ァレも気付いちゃいない
強いから刺そうとしたんじゃなくて
怖いから、先制しただけだったって
雨がボトボト降る庭に
私は私を弔った
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