|
|
|
伏魔殿
|
作詞 澪鳳 |
|
「ただいま」って言った
其処は無言で笑った
他に人は居ない
隔離された病棟
振り回した刃 血痕 破れたシーツ
真っ赤な掌の跡
もう随分前に
捨てていった筈なのに
何でこんなところに立ってるんだろう
暗闇茂る 潜む崩壊内構造のもっと奥
錆びた鉄の扉に手をかけて
狂った箱庭に帰ってきた
「ただいま」って言った
「おかえり」は聞こえなかった
ただ 奇怪な音が鳴り響いて
眩暈で目を閉じる
手首の傷 嘲笑 悪夢 再来
自分しか知らない
寂れたサナトリウム
吐いた穢れ 寄生虫 朽ちたアスファルト
銀色の砕けた鏡
もう辿れない昔に
置いていったつもりなのに
愛を失ってすぐ 気付いたら此処に居た
光消ゆる 燻る精神内心像のもっと先
罅入った硝子を握り潰して
終った独房に入っていた
「ただいま」って言った
「おかえり」は聞こえなかった
ただ 涙が頬を伝って
真っ黒な雷鳴が走る
君の顔 台詞 真実 到来
軋むベッドに座り
拾い読むあの日の自分
運命なんて卑怯で嘘つきで
媚びて妬んで高らかに笑う
間違ってないよ
その程度のもんだよ
だから此処に居るんだよ
だから俺を呼んでたんだよ
「ただいま」って言った
「おかえり」が聞こえた
ベッドの下 黒ずんだナイフが
綺麗に輝いて 俺を讃えて
全部抱きしめた 汚れも後悔も何もかも
一生此処から出られないんだって
俺の心には悪魔が住んでるんだって…
手首の傷 嘲笑 悪夢 再来
君の顔 台詞 真実 到来
手首の傷 嘲笑 悪夢 再来
「ただいま」
俺を迎えてくれる
真っ黒なパンデモニウム
|
|
|