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短編小説
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作詞 くろちゃん |
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もしもあなたが 小説家ならば
まだわたしは 短編小説の
ほんの一行 でてくるだけの
ひとりの女に 過ぎないかもしれない
もしもあなたが 風景画家ならば
まだわたしは 一枚の油彩画の
野山の景色の 林のすみにある
木々の枝の影に 過ぎないかもしれない
もしもあなたが 音楽家ならば
まだわたしは 協奏曲の
第二楽章の クラリネットの
四分休符に 過ぎないかもしれない
さほど悲しくも 笑えるでもない
でも読み終えて すがすがしい思いに
何かこみあげる そんなヒロインに
いつかあなたが 描く超大作の
遠い未来に 街の古本屋で
どこかの誰かが ほこりをかぶった
長編小説を 手に取り開く
ひとりの女と 小説家の物語を
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