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かわりゆくもの、かわりなきもの
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作詞 スペード |
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かつて、そびえ立っていたものも、今では。
崩れ去ってしまえば、それは、あまりにも儚く。
今よりも前に、ひとつ、深く、
負った痛みは、薄れることはないというのに。
不確かな何かは強くとどまり続け、
二度と呼び起こさぬようにと、けれども。
あの日の自分によく似た、それは。
容易く“今”を、乗り越えてゆく。
ーー憎しみか。
ーー哀しみか。
それが、何なのかさえ、
今となっては、知る術が少なすぎて。
ーー沈んでゆくのか。
ーー羽ばたいてゆくのか。
いつか見た世界のほうへ、
手を伸ばしていたことさえ、忘れていた。
特に望んでいなかった出会いを、ある時。
それを、運命などと思いこめるように。
ひとつ例を挙げるならば、枯れゆく花を、
美しいと思い続けることは、難しいと。
掴んだものは、全て、かわってしまったが、
かわりなき何かが、根を張っていた。
ーーどこからを。
ーーどこまでを。
区切りを、つけるには。
この身にとっては、空いた穴が大きく。
ーー何よりも。
ーー許す限り。
今まで得ようとしていたものよりも、
足りなかったものということに、やっと気付く。
失いかけることでしか、気付けない。
無くしてからでしか、気付けない。
この世界において、全てのうち、
かわりゆくものと、かわりなきものでは、
どちらが多いだろうか。
ーー光か。
ーー世の果てか。
踏み出した、そこには。
ああ、いつか見た、見知らぬ世界。
崩れ去ったものも、
不確かな何かも、
まだ何も知らなかった自分に似たものも、
それ自体は、かわりゆく。
だが、かわりなきものは、
それぞれが抱く中に。
かわりなきものと共に、陽の差すほうへーー…
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