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迷子
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作詞 散桜 |
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”君は可哀想だね”
憐れんだ双眸に浮かぶ僕の顔は
綺麗と呼ぶにはあまりに歪んでいた。
僕の瞳の奥の奥に住み着いたその幻影は
この世のすべてを暗く見せる色をつけていた。
昨日まであった世界をぐちゃぐちゃにして
僕が作り出した新たな世界。
君のモノクロな瞳から流れ落ちた
その雨が、僕の足元に
花を咲かせた。
現世と幻の狭間で行方不明になった
そんな彼女は
僕の脳裏に焼き付けた鮮烈なそれを
僕に突き刺すのだ。
「あの場所で待ってる。」
ねぇ、ねぇ、
それって何処なの、
僕のたどるこの道の先に君はいるの?
”君は可愛そうだね”
蔑んだその瞳に映し出された僕の姿は
虚言に惑った化物の皮を被っていた。
僕の心の底の底に眠りついたあの郷愁は
この世のすべてを黒く染める涙を流させた。
昨日まであった世界をぐちゃぐちゃにして
僕が作り出した新たな世界。
君のモノクロな唇から零れ落ちた
その嘘が、僕の足元に
海を作った。
現世と来世の狭間で消息不明になった
この僕は
僕の脳漿に突き刺した煽情的なそれを
傷口から抉り出すのだ。
「もうここが何処だかわかんないよ。」
ねぇ、ねぇ
それは未来なの?
破滅への道なの?
過去と現在と未来と僕と君と
迷子になったそんな僕は
何も見えない奈落の底を散歩してるようだ。
君が待っていると言ったその場所に、
僕はいる、君はいない。
「君は可哀想だね?」
「…君も可哀想だね。」
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