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メープルシロップ
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作詞 まちやま さき |
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メープルシロップ
搭乗ベルが鳴り響く
彼の声「もういかなきゃ」
ほら わらって かわいい顔が台なしだ
彼はスチュワーデスに声をかける 私は彼からもらった ピンクの薔薇の花たばもって、むりやりわらった
僕がいなくなっちゃうわけじゃないし 休暇には必ず帰るし 2年後には必ず帰るよと言った それに着いてきてくれないのは君の意思だろうと 皮肉をそえて。
写真できたらおくるよ と彼はキスを残してバンクーバに飛んでいってしまった
薔薇の花言葉は愛している
いつか彼から教えてもらったこと
彼がいなくなってしまってから 私の心にぽっかりと空いた穴
私はいつもより多くの仕事をこなし 日曜日には親友のカップルが心配して家へ呼んでくれる
彼といた時間よりずっと長い私の理解者
私が泣くと、だって、あなたが選んだんだから といって全然同情してくれないひどい人
それでも傍にいてくれるだけで
私の空いた穴に絆創膏をはってくれる
毎朝6時半のモーニングコール
「君はお寝坊」だからと毎日かけてくる
「こっちは夜だよ」と言って 16時間の時差がもどかしい 地球儀を回せば指でたどれる距離なのに 私は写真立てに飾った飛行場の写真を見ながら彼のいない心を埋めようとする
窓際には ドライフラワーにしたピンクの薔薇
夏季休暇 彼はメープルシロップを持って帰って来た
私は牛乳とメープルシロップを混ぜてフレンチトーストにして一緒に食べた
彼は私が気に行ったのをみてとると 送るよと言ってまた帰っていった。
それからいっぱいのメープルシロップが届いた
私は毎朝フレンチトーストを作って会社に出勤するのが日課になった
そんな日々が2年間続いた後彼は私のところへ帰ってきた
いっぱいのメープルシロップを持って
私の親友カップルに渡すと もう食べ飽きたわと言われた いつもメープル味よ と小言をそえて
彼は苦笑して私の親友カップルに「ありがとうございます。」とお礼を言った
それからまた いつもの日々
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