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そこから柿が始まった
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作詞 柿の樹 |
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ねぇ、おぼえてるかい?
きみと始めてあった頃のこと。
僕は吹奏楽の打楽器奏者で、君はクラブの見学者。
その時僕は
ただ可愛いなとしか思っていなかったけど
後々、君のことが好きって分かった。
その時君はどう思ったの?
アレからどんどん時間は過ぎて行き、
君は入部してくれた。
打楽器ではなくホルンだったが、気にはとめなかった。
中二の夏休み、僕は本当に気にのことが好きになった。
正直、僕自身も意外だった。
まさか後輩相手に恋をするとは
思っても見なかった。
ずっと身近にいた人が、僕の初恋の相手。
それからずっと、僕は思いを告げられぬまま、
君を見守り続けた。
事あらば告白しようとは思っていたが、勇気が出なかった。
そんなことを繰り返すうちに、
君は僕の全てになりかけていた。
でも、時は過ぎていってしまった。
君はクラブをやめてしまった。
理由は転校。
引っ越すために、クラブを辞めざるを得なかった。
その時僕は、深く悲しんだ。
大切だったものが、手の届かぬところへと行ってしまった。
一年半の思いは、あっけなく終局を迎えた。
僕の心には、悲しい残響が残っていた。
僕たち三年はクラブを引退し、受験勉強をそれぞれに始めた。
でも、僕の頭には、君のことがいつまでの横切っていた。
時間は経ち・・・気にが引っ越す当日。
僕は決心を胸に、君に思いを伝えに行った。
「告白」。
この言葉は、このとき普通のものとは
比べ物にならないくらいの意味を持っていた。
「僕は、君のことが好きだ・・・。」
面と向かい、こう呟いた僕。
でも、返答はよくはなかった。
「すみません、好きな人がいます。」
正直悔しかった。
やり直したいと思った。
泣きたいと思った。
でも、涙は出なかった。
無駄な決心をしていた僕は、泣くことが出来なかった。
でも、その時間、僕は深く悲しんだ。
心の奥で、思いっきり泣いた。
君は引っ越してしまった。
そのとき、僕は新たな決心をした。
忘れたくはないが、それでも、過去には向かないと。
そして、柿の樹として生き続けると決めた。
いままで、柿の樹はただのペンネームでしかなかった。
だが、その時からは違った。
過去から逃げようとする、もう一人の自分であり、
仲間と余生を楽しむ、もう一人の自分となった。
ある、初恋をきっかけに柿の樹は始まった。
それは、ある人物が追い求めた、恋の産物だった。
あれから数ヶ月。
僕は今でも、想い続けているかもしれない。消えたはずの理想を。
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