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花の乙女
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作詞 逝蝣(ゆゆ) |
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東京は先頃梅がちらりほらり咲き始め
・・・美しい少女は綺麗な花櫛を挿し、綺麗に化粧をしてゐた
繊細な鎖の付いた少女の眼鏡は好く似合ふ
初々しく纏ったのは紅に染められた着物
僕は少女と二人きり
「彼の時計台の下で逢いませう」と約束をして
僕は家路に着いた 筈だった
僕は早朝、春風と共に眠り過ぎてしまったから
だから
走って、時計台へ。
走って、下駄を鳴り響かせて。
僕は最愛の少女を迎えに行ったのに
「君は。」
飛び散った思い出は無残に全ては一瞬で無に帰すのだらふ
「噫、左様なら、花の乙女。」
永遠少女の思い出は胸の銀製ペンダントに潜め
僕は、僕を呪ゐながらまた生き延びるのだらふ
「嘆かわしいひと。」
少女がくす、と微笑む声が聞こえた
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