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東京愁人
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作詞 条峙 |
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澄まし顔の鉄道は淡々と生まれ育った地へ向かいます
書類から窓へと移した視界が嫌な予感を運んできます
錆びた壁のコンビナート 褪せた屋根の住宅街
昔と変わらない風景に 吐き気がしてきました
※幾つもの思い出を捨てて僕は東京の人になりました
「ずっ友」だと交わした親友や タブーを塗り替えた彼女を
風景が思いだせと急かすから どうしようもなく嫌でした
ほどよく冷房の利いた車内で呼吸が苦しくなってきました
書類へと戻したはずの視線はまた窓の外を見ていました
照明一つの野球場 どこまでも続く田んぼ
懐かしすぎる風景に 吐き気がしてきました
幾つもの思い出を捨てて僕は東京の人になりました
気の遠くなるほどの数の人が 作った人工的な空が
澄んだこの空よりも正しいから 憎々しいほど嫌でした
顔のない人の群れが耳鳴りがするほど僕に話しかけてきます
子供より純粋で、幽霊よりおぼろげな―
大切な人との繋がりよりも僕は夢を追うことを選びました
「夢は夢なんだよ」と優しく 嘲笑った人がいました
あの言葉の意味が今になって 深く刺さってくるのです
※repeat
知らない風景へと移り また書類を読み始めます
まるで何事もなかったかのように
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