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Windup doll
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作詞 アザレヤ |
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僕より大きな主人は言う
しゃがれた低い声で
「今日が最後の舞台だ」
顔をしかめて僕のかたい腕に触れる
カチャカチャと音が鳴る
何の音でしょうか
すぐ近くから響いてる
はて 僕の音でしょうか
お客様は瞳を躍らせて
主人の指先を見つめている
そこから繋がるのは僕の体
白と黒の糸で動くからくり人形
誰よりも綺麗な主人の舞台
今日で見おさめらしい
ならば僕も自分で動きたかったな
僕より小さな仲間は言う
気が散るような高い声で
「明日から私が主役なの」
自慢げに胸を張り僕を見下ろした
最近作られた可愛い後輩に馬鹿にされるぐらい
僕は落ちぶれた人形だったらしい
ねぇ 主人はどんな気持ちで
もうすぐ幕が下りてしまうところで
お客様は目尻をこする
その姿に何を思うか
明日壊されるからくり人形
目も口も耳も腕さえも
全て貴方に作られ操られた
だから僕の記憶は主人のもの
お客様は大きな声を張り
主人にむかって何かを投げた
舞台の上で糸から抜けだし
仕掛けを知られたからくり人形
僕の姿に気付かれても
僕のお仕事は今日でおしまい
たとえあの日に戻れなくても
貴方がまた人形を作ってくれるのなら
それだけで
月日が経ってまた始まる舞台
僕は一番後ろの席にいた
誇らしげに笑う貴方
その中にからくりのない僕はいますか
今そこに行けば
どんな顔で僕を見るのだろう
あの頃の糸が肌にくい込む
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