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杜若(カキツバタ)
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作詞 アキ |
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君という主人公の物語
僕の役名は通行人
印象にも残らない役
表情を作って前を歩く
一歩一歩君に近づいて
一歩一歩君と遠ざかって
君はこの国の王子と結ばれる
僕の役名は民衆の一人
見つけることもできない役
作り笑いを浮かべ君を見上げる
ゆっくりゆっくり君を見上げて
ゆっくりゆっくり顔を背ける
勇気があれば変えられたかな
自分の役名を 物語の筋書きを
街角の花屋で ふと君を想った
芝居じゃなく 筋書きじゃなく
この花を 今は遠い君に
大通りを抜け 広場を抜け
城の前へ
壁を飛び越え 警備をかいくぐり
目指すは唯一つ 君のもとへ
城の一番奥の部屋 台本にはない出会い
今なら変えられる 役名を 筋書きを
美しいその姿に 一輪の花は静かに落ちた
大きいお腹を抱えた君に
萎れた花など意味はない
兵士に囚われる僕 抵抗などしないさ
たとえ地獄に落ちたとしても
何も変わらなくても
僕の胸に後悔はない
私という主人公の物語
私の役名はこの国の王女
生まれた我が子を愛でる役
一輪の花を傍らに
幸福が訪れることを祈る
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