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『出来損ない』に出来る事
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作詞 J'Soul (ジュゾウル) |
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僕が初めてキスの仕方を学んだのは まだ自分の名前すら上手く書けない頃だった
僕が初めて女の抱き方を知ったのは まだ自分の故郷すら何処かも知らない頃だった
僕が初めて慰め方を覚えたのは まだ自分の言葉すら伝えられない頃だった
僕が初めて傷つけ方を試したのは まだ自分の未来すらちゃんと描けない頃だった
その場所で僕は一人で生き残る術を身につけた
その代わり僕はとても大切なものを落としてた
だってそうじゃなきゃ僕はひからびて死んでいたはず
例えば地図に載ってある近道を見つけて 次の信号を右に曲がっても
すぐに分厚い壁が見えてきて 扉にもたれていた人に
『こっから先はお前なんかじゃ通れない』って追い立てられた
例えば目の前に綺麗な海が広がって 入口を探し周りを回っても
鉄柵ばかりが並び続けて 立てかけてあった看板に
『ここは恵まれた人だけの専用です』って書かれてあった
僕が初めて微笑み方を信じたのは ただ自分の想いすら理解出来ない夜だった
僕が初めて悲しみ方を恨んだのは ただ自分の命すら役にも立たない夜だった
その人に僕は『愛しています』と声に出して告げた
それだけで僕は自分も『幸せ』になれる気がした
だけどそんなのは美しくも愚かな夢だった
例えば隣で横たわる寝顔を眺めて 髪に触れようと指を伸ばしても
目には見えない布に仕切られて 思わず自分の手を見たら
『お前に彼女に触れる資格があるのか』って誰かが言った
例えば涙で腫らした赤い目に気付いて 震える肩を抱きしめようとしても
泣いてる理由も分かりはせずに 不意に浮かんだ幻から
『何も持たないお前に何が出来るんだ』って笑いが飛んだ
人を幸せにする方法なんか持っていなかった
何が幸せと呼べるのかすらも 僕の記憶には残っていなかった
だから僕は彼女の涙を拭いた指の 濡れた感触だけを胸に抱き
足跡も残さずに思い出を連れてまた旅に出た
例えば隣で横たわる寝顔を眺めて 髪に触れようと指を伸ばしても
目には見えない布に仕切られて 思わず自分の手を見たら
『お前に彼女に触れる資格があるのか』って誰かが言った
例えば涙で腫らした赤い目に気付いて 震える肩を抱きしめようとしても
泣いてる理由も分かりはせずに 不意に浮かんだ幻から
『何も持たないお前に何が出来るんだ』って笑いが飛んだ
だから僕は彼女の涙を拭いた指の 濡れた感触だけを胸に抱き
足跡も残さずに思い出を連れてまた旅に出た
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