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天使の梯子
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作詞 J'Soul (ジュゾウル) |
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時計台の鐘が鳴り土の中の蝙蝠が目を覚ます
吊り橋から飛び降りた石造りの猿は白い無を吐く
青い煙を撒きながら鋼鉄の馬車が 蹄の音高く闇を駆け
朝靄の中から取り出した太陽を 雲の隙間から空に返した
天使の梯子(はしご)に手を掛けた人の
被った帽子に生えた苔が 緑に光る
ざわめきと歌う片目の烏(からす)が
紅い瞳から涙を零し 水溜まりには世界が踊る
眩しさに染まる頬を撫でた透明な羽を
通る光が虹に変わる
七色の絵の具を重ねた画家の前では
裸の画布が筆の愛撫を待っていて
薬指の誓約が繋ぎ止める幸せは欠けていき
色紙(いろがみ)を貼り付けた夢の景色がそっと剥がれて散る
セピアを映す煉瓦の街並みから届く 笑い声遠く窓をすり抜け
油絵を並べたただ広い寝室で 揺れる蝋燭の火を吹き消した
天使の梯子に手を伸ばす人の
ポケットに潜む思い出から 時間が落ちる
波音と眠る一羽の鴎(かもめ)が
黄色い嘴(くち)に羽をくわえ 海の鯨の潮をなぞった
輝きを願う胸に触れた透明な羽を
浮かす空気が風に育つ
七色の絵の具で彩る窓の影では
無色の裸婦が画家と口付けを交わして
天使の梯子を上る人が見下ろした 天使の梯子が辿り着く先には
一つの画室が明るく照らされて
ここで生まれた油絵がまた この街の片隅で壁に飾られる
溢れ出る羽を集め結った透明な筆を
抱いた右手に星が宿る
七色の絵の具を合わせた一枚の中
誰かが泣いた夢も優しく微笑んで
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