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野良猫の恋歌
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作詞 J'Soul (ジュゾウル) |
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雨上がりの公園のベンチ 揺れる街灯に照らされながら
濡れた体を丸める様に温めていた
不意に近付いてきた足音に ベンチの下に潜りのぞき見る
傘も差さずにびしょ濡れの女が立っていた
人間はやはりおかしなものだ ただの布が濡れるのも嫌って
窮屈な世界に自分達を押し込めるのに
立ち去ろうと上げた鼻先に また水滴が落ちて空を見た
その目から雨を降らせる女と目が合った
逃げなければと頭が叫ぶのに 泣き笑い浮かべ伸ばされた手に
力の入らない前足を触れた とても冷たくなった白い手に触れた
人間に恋した野良猫が一匹 言葉も分からずに慰めたいと鳴く
人間に恋した野良猫が一匹 涙を止めたいと灰色の空に鳴く
名前も持たない野良猫が一匹
今夜も同じ公園のベンチ 誰もいない暗闇を見つめて
たった一人の人間をいつまでも待ちわびる
あの日自分を胸に抱き上げた 腕に驚いて逃げ出したのは
唐突に差し延べられた優しさが怖くて
どうして自分はここにいるのか 野良猫に理由など分からない
淋しさや温もりなど最初から知らなかった
そして足音が近付いてくる 派手な毛色の人間に遊ばれ
血を流してもこの場所を離れたくなかった
逃げなければと頭が叫ぶのに とうに力など残らず消えた
泣いていた女が浮かんで見えたから かすかに震えていた細い手に触れた
人間に恋した野良猫が一匹 言葉も分からずに慰めたいと鳴く
人間に恋した野良猫が一匹 涙を止めたいと灰色の空に鳴く
名前も持たない野良猫が一匹
急に地面を離れた感覚に いつの間にか閉じていた目を開く
野良猫を抱いた女が泣きながら 何かをずっと叫んでいた
…温かくて …柔らかくて …優しくて …安らいで
本当に人間はおかしなものだ 野良猫に言葉など通じはしないのに
だから野良猫は頬をなめた やけに体は重かったけど
もう泣き止めよと頬をなめた
人間に恋した野良猫が一匹 言葉も分からずに慰めたいと鳴く
人間に恋した野良猫が一匹 涙を止めたいと灰色の空に鳴く
名前も持たない野良猫が一匹
たとえその声が聞こえなくなっても
人間に恋した野良猫が一匹 言葉も分からずに慰めたいと鳴く
人間に恋した野良猫が一匹 涙を止めたいと灰色の空に鳴く
名前も持たない野良猫が一匹
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