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人体分離式マッドゴーレム
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作詞 紗散 画宮 |
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生まれて落ちた そのときから
ボクにはナニカが欠けていてさ
一つの意識が 終わってから
12秒しか経ってないのになぁ
観察日記の 題材にされて
12週間は 経っただろうか
僕を解放した そいつは言うのさ
「せいぜい一年持ってくれ」
渡された 古いマンション
通帳に溢れてる偽物
腐りきった畳の上
すぐに100日が過ぎた
歯車が噛み合って軋んでいるうちは
どうにも異常なく生きていけるだろう
しかし ああにも こうにも 情けないもんだよ
ココロガミエナイ
虚ろ 移ろい たゆたう人混みは
みんなちゃんと自意識を持っていて
まぁどうせ 僕に残った あと260日
何も起こらないから 問題ないよ
ふと気になって 町の図書館に
ぶらりと旅に出てみました
適当に探せば 見つかるもんだね
確かにボクはソウイウモノらしくて
交通事故と 載っているけど
もうそんなのはどうでもよくて
結局なにも 感じやしない
ボクに残ってくれたものは何もないようで
帰ろうか 差し掛かるドア
すれ違う長髪の女性が
僕を見て 泣き崩れた
200日が過ぎていた
「どうして生きているの?」なんて聞かれても
久しぶり と嘘をつけばいいのかなぁ
生前の記憶なんて どこに置いて来たんだろ?
……アノコウサテン?
虚ろ 映ろう 彼女の泣き濡れた
その目が「忘れたの?」なんていうからさ
まぁどうせ 僕に残った あと160日
嘘で固めても 問題ないよ
(彼女の第一の印象は
綺麗でおしとやかな人だなって
彼女の第二の印象は
思ったより口の悪い人だなって
彼女の第三の印象は
自分を想ってくれる人だなって
すぐ100日が過ぎていってさ
でもこのままじゃ終われなくてさ)
彼女を大切にしたいと思うけど
どうにも愛し方が分からないんだよ
だって ああにも こうにも 仕方がないだろう
ココロガミエナイ
虚ろ 移ろい 映ろう短針が
5の文字に気付かず 通り過ぎたなら
彼女のカバンに残った全てを預けてさ
「ゴメンナサイ」を残して行くよ
さようなら ありがとう……
白と灰色の クロスロードへと
希薄になった身を引きずって行けば
そこで見かけた 僕が僕と
一緒に空気に溶けて消えた
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