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なんてことのない笑い話
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作詞 傑木 |
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目が覚めたら 世界は夜だった
窓から見た空には月が三つ並んでいた
ここは誰かの夢の中だろうか
僕は現実から逃げてきたのだろうか
電話が掛かってきて 出てみると君の声が聞こえた
いつもの場所で待っていると いつもと変わらない約束
家を飛び出した僕は 狂った世界を駆け抜けた
魚を空を飛び交って それに猫が飛びついていた
犬はレストランでステーキを食べて焼き加減に文句を言う
鳥は道端を歩いて車のタイヤを嘴でつついてパンクさせている
まるで童話のような光景に 驚く暇もなく
約束の場所へと 全速力で向かった
そこにいた君は右手にナイフを持っていた
満面の笑みを振りまきながら言う
今から私は死にますなんて
どこまで狂っているのか もしかしたら狂っているのは僕なのか
これで死ぬまで一緒にいられたねって
最期まであなたを好きでいられたねって
また廻り会える日まで さようなら
君はナイフを自分の首に突き立てた
そこで夢から覚めた ある日の朝
そして僕は現実を思い出した
昨日彼女と喧嘩したことを 君が初めて涙を見せたことを
まったく酷い夢だなんて思いながら 僕は君に電話した
ハロー生きてますか?
なんのつもりなのって怒られた
昨日は本当にごめんなさいって 素直に自分から言い出せていた
君は別に気にしていないって強がっていたけど
その声はなんだか嬉しそうだった
それから僕は彼女に言った
終わりは始まりだというけれど
人の人生にもそれが当てはまるなんて思わない
終わってしまった証明はできるけど
次の君が始まったなんて証明はできないから
だから生きろ 生きてくれ
死なないで…… 生きてくれ
いったいどうしたのと君は笑った
僕もつられて一緒に笑った
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