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おとぎ話2〜完結編〜
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作詞 うさぎとかめ |
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デンジャラスボーイは 幸福な日々を経て
大切な彼女を 失いました
余りにも急な その死に彼は
泣くこともできずに ただただ歩いていきました
これから先の たくさんの未来に
願いなどは一つもなくて
夢やまして希望も 心もそこになくて
ただただ びくびくしながら歩いています
あなたを失ってから 何かに怯えることも
怖くて逃げ出したくなることもなくて
いつかの死を夢見ながら またあなたに逢えると
たかをくくっていた 俺なのに
もうそばにない温もりの分だけ
もう感じることのない 喜びの分だけ
そこに蔓延るのは 寂しさとその所以
ただただ俺は 痛いくらい疲れていたのかも
ただただ歩いていると 1人の少女が
デンジャラスボーイに近づいてきて 言いました
「どうして あなたは泣いているの」と
「泣いてなんかいないさ」 彼がそう言うと
「違うわ あなたの心が」 少女は言いました
彼の中の寂しさが 溢れ出して
前が見えなくなるくらい 泣きました
ひとしきり泣いた後 彼女は空を指差し
「誰の心にも空はあるのよ」 そう言いました
「あなたの心が 土砂降りなら
いつでも私が 傘をさしてあげる」
彼の悲しみに 一緒に止まってくれた
彼女の瞳は ただただまっすぐでした
俺の悲しみは 今でも心の空にある
でも今触れても そこから雨が降ることはない
なぜだかとても いとおしい痛みだ
君が傘をさしていてくれたからかな
ねえ 君がずっととなりで
悲しみを少しずつ すくってくれたからかな
俺の心の空には 雨のたびに君が
傘をさしてくれる そう思えるから
俺は今日も 勇気を持って進んでゆける
ありがとう 瞳の美しい君よ
今日もデンジャラスボーイが 1人
晴れ渡る空の下 歩いていきます
その後ろ姿は 凛々しくまっすぐに伸び
そのすっと伸びた背筋に 人々は振りかえりました
そしてその後 空に溶けるようにいなくなったのです
彼を支えた 小さな幸福は
今でもきっと 彼の心に残っていることでしょう
あの心の空に いつまでもきっと
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