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生きる為の証と死ぬ為の印
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作詞 有真澪 |
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私に世界はありませんでした
嘗(かつ)て彼が私に言った
―――雨は本当は赤じゃないんだよ
其の瞳は真紅に燃ゆる
あれほどの勢力も
今は眠れる大地に鎮まり
生きた証などありません
兄は何処にいるのだろうか
苦しいほど伝える悶えるその首筋に
照らし出される 嗚呼 もうひとりなのだと
私にひとりも必要なかった
嘗て幼い私に言った
―――灯が消えれば其れは「終焉(オワリ)」
武器を持つ手は深紅に燃ゆる
滾る心は朽ちる
今はただ静かに眠れる肉体……
死ぬ為にどれほど…死んだ?
贖いは私の宿命
戾らないはずの時間を巻き戻せるなら
命を捧げよう 紅は碧へと
私に嘲笑う闇の道化師(ピエロ)
手首をなぞる
指先が知る
痛み、苦痛に歪みながら
私の手に印が宿る
それを呪いだと知ったのはそんな物語の世界
古より伝う 魔法の呪いらしい
もうすぐ兄の元へ
もうすぐ苦しみから
もうすぐ解放(ときはな)たれる……
喜びを知った こんなカタチでも知ることができた
――――呪いには感謝しています
風に揺られながら 夢を見ていたの
貴方と共に暮らす幸せのひととき 忘れたくない…
そっと硴(かき)わける髪 漂う視線は
もう二度とこない爽やかな時の欠片 失いたくない…
もう少しだけ傍にいさせて?
我がままと知っておきながら困らせて
今なら其れすら我慢できるからお願い、ねえお願い
どうか戻ってきてほしい…此処に
此の手が伸ばす先に貴方はいない
苦しいときは手を繋いで共有し合った
その苦もすべて私が背負うの?
愛すべき人を 慈しむべき大地を
すべてを奪っていった 元凶(むま)を
許してはならない
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