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絶望ノ詩
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作詞 有真澪 |
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私はとある貴族の娘として生を授かりました
毎日が強欲で退屈な日々…
手に入らないものなどなかったのですから
しかし私は初めて外に出た時とは違う感情に抑えつけられている事に気付きました
男女が寄り添う合いながら愛を語らうのです
それは私には耐えられない光景でした
なぜなら、恋人という存在は手にした事がなかったから
私はその日からネジの抜けた機械のようにおかしくなりました
愛を求め家を飛び出したのです
もう二度とあの家には戻らまいと決意し、飛び出した嵐の夜――
素敵な…そう、あの人が現れたのです
身寄りのない私を引き取ってくれたあの人はとてもいい方でした
初めにはなかった警戒心も解けて、私はあの人に恋心を抱くようになりました
けれどあの人には婚約者がいました
あの人は遊牧民…私とは結ばれぬ運命にあったのです
手に入らないものはない そう思っていたのに
目の前にあるものすら 私のものにならないのです
だからどうしたらいいか考えました
あの人は私を義兄妹に迎えてくれると言いました
けれどそれではならないのです
私の望みは誰よりも熱く…ほとばしる閃光のように…一晩で尽きるのです
私は病に臥せました
精神の病だと長老は仰いました
次第に痩せ衰えていく私…あの人には見られたくないと…湖に飛び込みます
それで私の物語は終わるのです
叶わない夢なんて必要ないのに どうして
どうして私は生まれたのでしょうか?
私には生まれる資格はあったのでしょうか?
無かったのなら…私を……無かった事にしてほしいのです…
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