|
|
|
剃刀の所為
|
作詞 とろる |
|
息することさえ気だるくてまた君の髪を掴む
苦しいわけじゃあないんだけど
振り下ろされる右手だってそう
何があったわけじゃあないんだ
きれいにネイルされたままとうに欠けた長い爪が
手の甲 首筋 上気した肌に食い込んで
痛いじゃない こっちの台詞
だからねえ愛を語ろう マウントポジションで
区別のない叫びを聞く また取り込まれていく
君がまだ足りないというのなら
よく似てるよ 痣がなければ この間の夜の君と
そういえば君は本当にとんだ寂しがりだった
ひとりきりに怯えてばかりで
僕が出て行こうとするたびにさあ
口だけ噤んで眼で訴えた
だから望みどおりずっと一緒にいてあげてるじゃない
ほっぺた みぞおち 証もたくさんあるでしょ
痛いのは こっちの両手
だからねえ愛をあげよう 顔は見えない体位だけど
わかってきたよ君のこと だいぶ善くなってきてる
僕はまだ足りないんだけど
拳を握る 当たり前のこと 次は僕がもらう番だ
手首を切る君を見た
重たい色の午前二時
ワックスかけたばかりの床に
剃刀と紅 落ちるのを見た
それが新しい性癖なら 付き合ってあげよう イキたいの?
だからねえ愛を語ろう マウントポジションで
君の色で染まってく手 心臓がひくついて
君がもうやめてと叫んだって
今さらだ間に合わない 笑い声しか出てこない
だってほら愛の形 この右手この痕が
欲しかったんだろうずっと 信じられないから
君がまだ足りないというのなら
愛してあげよう
|
|
|