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砂の遺書
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作詞 神谷地まなみ |
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くるり、遠くで回転するプロペラが見えている
砂浜を 当てもなくただ歩きましょうか
答えなど出る訳もない さいはてを目指して
足を捕られる 寄せては返すを続ける波
足跡は寄り添うように 少しずつ遠くなる
繋いだ手 絡めた指 足元だけ見て
遠くに聞こえる喧騒は 風と一緒に通り過ぎていく
そして 耳の奥 泡沫のように消える
長い髪を 白い服を 波が攫ったら
穢れた身躯(からだ)は もう何処にも無い事になる
目を閉じて 聞こえるのは 波音
ふらり、と前に出す足は砂地に少しずつ沈み
それでも ただ寄り添いながら前へと行きましょうか
何の当てすら見つからない 明日など要らない
身躯の奥深く 細胞の中に染み込んだ光
灯っているうちに 誰かに消される前に
もたれた腕 絡めた指 風は背中で砕けて
耳元で廻る風の音は 泣きながら下に落ちていく
そして 溜め息が 夜の海に吸い込まれる
この闇が 目を 耳を 覆い隠したら
何処へでも流されていい 舟を一艘出しましょう
この腕を離さない 朽ちるのを待っている
冷たく 白い 唇に
愛の言葉を 乗せる事は 易しくない
赤いランプ 黄色いライン
白いシーツ 揺らいだ煙の匂い
腕は誰かに引き離されて 静かに胸に組まれている
遺書さえも 誰かに引き裂かれて 朽ちた
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