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祖母は息を吐くと静かに語りだした
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作詞 鮫 |
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いまから昔話をしましょう ほんの少しの昔話
まだ私が若かった頃 そりゃあ綺麗だ可愛いといわれ
誰もが望むような青春を送ったわ
けれど 何も面白くなんかなかったのよ
いまから昔話をしましょう ほんの少しの苦労話
見てしまったのよ 気付かないふりをしてただけ
聞いているのなら応えてほしいわ
不安に侵されそうな夜だってあったわ
そんな日は息を止めて静かに眠るの
青林檎の種を埋めたあの庭の下にね
母様が眠ってるのよ
いまからお茶にしましょうか いい紅茶を見つけたの
まだ私が無垢だったころ父様は私を天使だと言って
私に星の数だけキスをしたわ
だから 何も幸せなんかなかったのよ
いまからお茶にしましょうか 昔話はまた今度
狂ってないわよ 少し可哀想なだけ
不安に押しつぶされそうな夜だってあったわ
そんな日は瞳を閉じて静かに眠るの
ミーの亡骸を埋めたあの庭の下にね
父様が眠ってるのよ
見てしまったのよ 知らないふりをしてただけ
狂ってないわよ 少し可哀想なだけ
薬指の誓いに背いて悦楽に溺れた恋人達の
ほんの少しの苦労話 面白くもない昔話
そう言って祖母は
息をつくと静かに語りだした
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