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語り手のない物語
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作詞 なないろ |
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コンクリートの色した街を
縦横無尽 歩く人々
誰かの顔をした責任と
騙し絵の希望 両肩に乗せ
地上を動く人の数だけ
悲しみがあり 喜びがある
語り手のないその物語
録画ボタンが押されることはない
机上には満たされぬ空想が横たえ
積み上がる書類の下やがて潰れる
こみあげてくる寂寞の念
愛する者の寝顔に溶かして
ため息の声 見慣れた電車
ゴミ箱に捨てる赤い缶コーヒー
数えきれない日々が過ぎてく
同じ道辿るのに 迷っている
正解のない自問自答 答えを探して
曖昧な明日の声 やがて消えてく
宛てる名のない重なる手紙
いつか誰かの元に届くならば
満員電車が運ぶのは明日への光
この街の何処かに幸せを作り出し
名も知らぬ誰かの頬笑みとなれるから
コンクリートの色した街で小さな光が
一生懸命にまばゆいほど
ほら、瞬いている
語り手のないその物語
今日も新たなページ刻んでいく
終わることなく刻んでいく
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