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浜楢の木
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作詞 void |
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凪の午后 入江の奥に
小さな家と 楢の木ひとつ
世を捨てた 男がひとり
崖の上には 海鳥高く
森を知らずに 海辺で 潮風に吹かれてる
群れにはぐれた 男は 木漏れ日に目を閉じる
浜楢よ 浜楢の木よ
運命(さだめ)と知りながら 根を張るものよ
浜楢よ 覚えているか
彼が流れ着いた 夜明けのことを
冬の夜 入江の奥は
吹雪がすさび 波が打ち寄せ
風を聴き 男はひとり
昔の歌を 思い浮かべて
積もる枝葉は 暖炉で ゆらゆらと火をあげて
地に落ちた実は 男の 飢えさえ癒すのだろう
浜楢よ 浜楢の木よ
与える性(さが)負いて 尚立ち続け
浜楢よ 覚えているか
彼が口ずさんだ 悲しい歌を
春の朝 陸風下りて
古びた家と 切り株ひとつ
帆を立てた 小舟がひとり
振向きもせず 地平の先へ
忘れかけてた あの日の 泣き顔と笑い顔
舟に揺られて 男は もう一度夢を見る
浜楢よ 浜楢の木よ
入江に寄せ返す 波を数えて
浜楢よ 覚えているか
彼が残していった 最後の言葉
浜楢よ 浜楢の木よ
運命と知りながら 根を張るものよ
浜楢よ 心あるなら
何を祈るだろうか 彼の背中に
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