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「鉛色の空」
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作詞 かず |
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うまく伝えるのが苦手だ。
だから僕は黙っている。きみに誤解の無いように。
どうしたら近くに感じられるだろうか。
心の距離は願うほど遠くなるばかり。
気持ちはたぶん、玉虫の虹の色。
風が吹けば、手のひらをさらりと過ぎていく。
確かなものがほしいんだ。
疑り深くて、立ち尽くしてしまうよ。
時間だけが僕を追い越して、気がつかないウチに
景色だけすっと様変わりしていたよ。
胸につぶやく“I LOVE YOU”
あの頃はまだ、その意味すら知らなかった。
きみはそっと、「ありがとう」と言った。
その言葉が嬉しくて、何度も聞きたくて。
笑顔の作り方はよく分からないけど、
ただ僕は精一杯、顔をくしゃくしゃにした。
たぶんそれで、伝わると思ってた。
鉛色の雲が広がる3月の終わりは、まだまださむくて、
出会いに胸弾む人を尻目に、一人心で泣いていた。
一緒に悩んだり、苦しんで、同じ悲しみを分かち合って、
だからきっと一緒にいられると信じてた。
24時間きみのことを考えていた。
だけどもう、そばにきみはいないから。
きみだけが分かってくれた夢も、幻に消えていく。
また一つ、またもう一つ新しい季節がやってくる
きみはもちろん、あの場所にいないけど、
そのたびに目を閉じて、空を見上げた。
掴み損ねた夢を、憧れを、弔っている。
あの頃はまだ、その意味すら知らなかった。
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