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9(ナイン)
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作詞 鴻李 |
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遅すぎる前触れ
悲しい悲しい音がしたの
貴女は気付けば凸レンズの向こう
風にさらわれてゆく 砂のように
美しいものははかない
人の夢のように
哀しい哀しい夢を見たの
貴女は亡骸(むくろ)と影を重ね
蜃気楼のように
そこに横たわって在る
大きな瞳は崩れ去り
澄んだ歌声は途絶えたきり
胸に空いた穴は風を通す
ただ蓄積してゆく
時間と記憶の中で
貴女は朽ちてゆく
その肉体(からだ)はそこから出られずに
涙さえ忘れて
私は眺めることしか出来ないで
美しい貴女は凸レンズの向こう
砂に埋もれて
独り眠りについている
永久に咲かない花を待っている
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