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自転車
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作詞 惇、 |
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「あれから、どのくらい経ったんだろう?」 なんて言ってみる午後
ここに 自分がいないようで ここに あなたはいなくて
ふりかえってみるほどの 月日は 重ねていないはずなのに
もう顔も、声も、きっかけも ろくに思い出せない
当たり前でしかなかった日々に 全体重をあずけていたこと
ぼんやり気がついたからって あんまり変われてはいないようだ
無限にふくらむ未来の尊さ 無限にしぼむことへの怖さ
おさないだけのこころがまた ゆっくり 傾いているのかなぁ
青空の下で今日も めぐりめぐるのは過去のこと
まぶしさのなかでひとり 泣きも 笑いもできない
ときに、世界を煩わしがって 両目を閉じるのは容易く
まっすぐ まっすぐ 歩けども 余計な壁にぶちあたるんだ
ときに、世界を雑音に仕立て 両手で遮っているのは
うすっぺらを「ノックする青さ」と「年老いた甘さ」なのかもしれない
弱い自分を突き放して 強くなった気分に酔ってみても
得たのは、その逆だって 本当は分かってる
覚えていたいことを忘れたり 忘れたいことが脳裏よぎったり
「なんにもない」なんて嘘っぱちも 欲望の生みの親だ
青空の下で今日も 自転車に乗って風になる
まぶしさのなかでひとり 絶えず呼吸をしながら
深く 深く ペダルを踏みこむ・・・・・・――――
ざわめきの渦を 沈黙が飲み干す
滴る汗に 少し 苛立ちを覚える
「ちいさきを知った、ちいさきもの」になるんだ
「生きている価値を尋ねる勇気」が「生きていく価値」に、なり得るのなら
あぁあ、そうだ 忘れないで 「0=0」とは限んないこと
もっと、もっと、繊細で もっと、もっと、単純な 「ひかり」こそ
あぁあ、もうさ 九分九厘 無意味なんだと突きつけられても
あふれることは山程あるけど たったひとつ、けっして
とぼけんな いつだって ふざけんな どこだって
まだ、平気なフリしておびえながら ささいな瞬間も「ここにいる」
ひとりぼっちになったって つながってる 誰かと
いつか見つめあえる その日まで――――・・・・・・
ただ ただ ただ 生きるために見上げた
青空の下で誰もが 「会いたい人」 「待っている人」
まぶしさのなかでそっと 出会うまでは 「ひとり」と「ひとり」
青空の下で今日も めぐりめぐるのは過去のこと
まぶしさのなかでひとり 泣きも 笑いもできない、けど
さみしさを言葉にして ひとかけらのあなたの力は
顔や、声や、きっかけじゃない そんなちっぽけなものじゃなくって
青空の意味のような いつだって「今」を生きる術は
変わらない胸のなかで ひた向きに動いているから
青空の下で今日も 自転車に乗って風になる
まぶしさのなかでひとり 絶えず呼吸をしながら
しかめっつら、このままでいいや、埃まみれの誇りだ
自転車は、走っていく
生まれたての、いのちを乗せて
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