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指寸劇
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作詞 u-my |
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小指の曲がった足でここまで歩いた
肉刺(まめ)は潰れて 靴は血まみれ
それでもパパは言った
「やれば出来るじゃないか」と
親指を無くした手でお皿を洗う
グラスは割れて 泡は血だらけ
それでもママは言った
「とてもいい子よ」と言った
わたしは
歯が欠けても構わないから
精いっぱいの笑顔を向けるわ
ずっと見ていてね 踊り続けるから
血を振りまいて笑いながら
薬指に銀の指輪をつけていた
小さくきらり 赤く眩しく
そしたらパパは怒鳴った
「お前は悪い子だね」と
人差し指を振って魔法をかけた
くるりくるりと 呪文を唱え
そしたらママは怒った
「夢の見すぎよ」と怒った
わたしは
骨が折れても大丈夫よ
だって今日はこんなに晴れてるから
立っていられる ほら まだ笑えるよ
なのに
ねえ 何処へ行ったの?
腫れた目に映る
惨めな腕だけが無様で
指輪も魔法もいらなかった
血みどろの靴と泡を返して
それだけは わたしを忘れない
ずっと覚えてるんだから
わたしは
見捨てられても平気なの
立てた中指もしまいこんで歩く
誰かが笑った 気にも留めないわ
ちゃんと歩いてられるから
歩いていられるんだから
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