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絵描道中記
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作詞 夜来香 |
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ありきたりの景色を飾る色を
誰も知らない景色を描く筆を
険しい顔のお嬢さん
「貴女の悩みの種を土に植えたら
何がはえてくると思います?」
怪訝な彼女に告げるは
「きっと禍々しい色をした
とても綺麗な花が咲くと思うんです」
「妄想絵描きは御免だわ」
嘲笑いを高らかに響かせ
過ぎ去る姿は蝶の様にしかし
その足は牡丹を踏みにじり
鈴の音(ね)鳴らす子猫ちゃん
「貴方の奏でる音に色をつけたら
どんな景色になると思います?」
返事も待たずに告げるは
「きっと七色に染められた
とても綺麗な風が吹くと思うんです」
「妄想絵描きは御免だわ」
にやりと不気味な笑み浮かべ
去り行く背中を振り返りしかし
音だけを残し闇の中
ため息1つは空に消え
目の前大きなキャンバスに
虹を纏う大きな蝶と
その羽に咲いた不思議な花と
ありきたりの景色は色を着て
誰も知らない景色をみせましょう
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