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夢追い人のドップラー
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作詞 愛弓歌 |
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6階の部屋の窓を開けると
茜に染まるうろこ雲が流れる
優しい景色は現実味を奪い
僕は遠い目で懐古に浸る
物心つかぬ頃に黒板を汚した
「ぼくのゆめ」への地図を想う
あの頃未来から聞こえる音色は
いつだってとても高尚だった
声高に降る明日と
色褪せた昨日
東の地平はいつも凛としていて
僕は早く大人になりたかったんだ
純真な白昼夢を並べる少年を
「若かった」とか笑う僕は
あれから繰り返す失望の現実に
裂かれてもまだ夢を語っている
昨日夢見た明日の
素晴らしい今日は
迎えてみると何かひどく足りなくて
「今」はいつも絶望の瞬間だった
その後悔に似た憂鬱の連続を
僕はいつも輝く明日で癒している
きっと最期の一秒だって
次の一秒に託しているのだろう
6階の部屋の窓から眺める
茜を飲み込む地平線は哀しく
落胆に変わった未来図を焼いて
儚い憂いをセピアに染める
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