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うそつきの音色
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作詞 愛弓歌 |
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夕焼け空に鱗雲
すすき野原に旋風
オレンジの波打ち際で僕は俯いて
真ん中でゆらゆら揺れて君を想っていた
「さよなら」
なんて言えるはずなく
無邪気な君に隠したままで
虫が黄昏に唄う聞きなれた音色は
寄り添って泣き笑いした想い出を彩って
この町に君を残し去る日が来る
それはきっと嘘だと信じた
出発の日は訪れる
白いワゴンに荷を詰めて
サイドミラーの茜を眺めると
その向こう髪を乱して君が走ってくる
「うそつき」
君は息を切らして
真っ赤な瞳に僕を映して
「さよなら」
僕は不意に呟く
夕焼け小焼け響く中で
五時のチャイムのどこか間の抜けた音色は
目の前で嘘みたいに泣く少女が描かれた
キャンバスを茜色に塗りつぶして
僕はなんだか悲しく無くなった
「さよなら」
やっと言えたそいつは
思ってたのとなんか違った
僕の知ってる世界を
軽く飛び越えた時速60km
少女が黄昏に頬を濡らして
世界を茜に染め上げたって
僕にはもうおとぎ話にもならないから
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