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月影クレッシェンド
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作詞 愛弓歌 |
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堤防に腰掛けて 右手を星空にかざす
波のリズムと月影の詩が
静まり返る世界に囁いて
僕は一人だと実感する
僕が宇宙を理解しようとすると
存在を押しつぶされる感覚
そういえば懐かしい感情だ
瞼の裏に古い記憶が映る
桟橋に横たわり 右手を星空にかざす
親とはぐれて迷子の僕が
落ち着く磯の香りを辿って
見つけた幼い世界の果て
黒の境界に無限を感じとったら
存在を押しつぶされた感覚
なんでだか不安さえ消え去って
瞼を閉じて僕は確かに消えた
どんな安易な理由でも埋められない孤独を
ゼロになることで癒せるんだと
幼心に刻み込んだ熱帯夜の漣が
単調な音で歳月を滲ませていく
黒の間に溶けて消えたいと
思ったのは今日で二度目だったけど
僕はあの日失った光の欠片を
未だ見つけられないでいるんだ
堤防に横たわり 左手を右手に重ねる
指の間を月影が零れ
存在意義の疑問符を蝕み
詩はいつの間に世界を包む
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