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「少年と王と」
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作詞 結言猫 |
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昔とも未来(さき)とも取れぬ時代の話
神は荒廃した世界に一滴の潤いを与えた
それは少年に託された
飢えた少年が城の前を走る
全てが渇ききっていた ただひとつを残して
なにやら町が騒がしい 王兵の行進が近づいてきた
少年の横を騎乗の王が通る
王は見逃さなかった その少年の眼を
「華美な私の装飾に一目もくれない!」
孤高の何かを それは睨んでいた
宝石以上の何かに
―飢えていた
王は少年を牢屋に押しやった これ以上少年を見たくなかった
今まで少しでも肌寒い穴には宝石を埋めてきた
それでも奈落のように埋めても埋まらぬどこかを
少年は、埋めていた
少年は言った
「俺はずっと飢えている。だが財宝じゃ満たされない。なぜなら希望しか見えないからだ」
王の中で嫉妬が揺らぐ
「だがあんたはそれが見えない。財宝が視線を妨げるからだ」
神が少年に与えたのは強い勇気でしか埋まらない「渇き」
あなたは少年ですか。王ですか。
―それとも神ですか。昔とも未来とも取れぬ時代の話
そこにあるのは誰かが置き去りにした
強い、
「渇き」。
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