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レゾンデートルの光
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作詞 憂鬱な画家と陽気な庭師 |
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暖かい手が
目隠しをするように
覆いかぶさった
I want to die. I want to grow.
『目が覚めると、僕は自分で描いた迷路の住人だった。 白昼夢のような不安定な世界で、感覚は研ぎ澄まされ、顔のない人々の行列に紛れるように逃げ込んだ。 十字架に釘で打ち付けられた神様。 たくさんの心の形。 空気中に浮かんだ輪廻のオブジェ。
轟くような声が聞こえて空を見上げると、雲の切れ間から誰かがこっちを見下ろしていた。 充血している大きな2つの目。 シニカルに歪む口元。 その誰かは腕を伸ばし、太陽を掴むと、それを大きく開けた口のなかへと頬張った。 そして世界から光は奪われ、やがて夜が来た』
冷たい声の
粒子状のノイズが
鼓膜を破った
I want to die. I want to grow.
『スパイラル状の光の階段が空から柱のように伸びていた。 僕は導かれるようにして、階段を昇り続けている。 もうすぐ迷路の終わりだと悟るが、不安定な足場は永遠という誘惑を僕に見せ付ける。 空に近づくほど息が苦しくなった。 このまま昇り続ければ死んでしまうだろう。 いつの間にかミニチュアの天使たちが、周囲をぐるりと囲み、祝福とも取れる微笑を漏らしていた。 当然のことだ。 他でもない、僕が望んだことなんだから。
意識が薄れていくなか、脳だけが階段から転げ堕ちる映像を見ている。 そんな中で僕が思い出したのは、片足の少女が無邪気に言った 「生きたい。」 という台詞。 夢と現実の狭間がなくなりそうになり、手の甲を強く噛んだ。 痛みと流れる血だけが僕の正気を保った』
無菌室。 白いベット。 モノクロの花。 腐ったオレンジ。
役者たち。 ナースコール。 カフカとニーチェ。 傍観をしてる。
瞼の下の
感受性に溺れる
幸せな夢だ
I want to die. I want to grow.
『誰かの声が耳元でサイレンのように鳴り響く。 現実の世界に引き戻される感覚に陥った。 抵抗する気はもうない。 思考がフリーズする。 その静寂の後、僕は笑いが堪えきれなかった。 もしかしたら最初から、この瞬間を望んでいたのかもしれない。
病室に降り注ぐ、
レゾンデートルの光。
柔らかな体温のなかで僕は眼を覚ました』
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