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くもり
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作詞 enily |
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水溜まり打つ強い雨
黄色いレインコートの少女がポツリ
話しかけた僕を見つめて
「お兄ちゃん、今アタシ、風を待ってるの」
って小さく呟くその眼は
僕に笑い掛ける幼い心は
これからどれだけの愛を罪を
感じていくのだろうか
ああ、そうか
今思い出した
この子はあの頃の僕に似ていたんだ
黄色いレインコート、くもり
「お姉ちゃん、今僕ね、風を待ってるの」
いつしか自分は大人になって
知りたくないことまで知って
気付いたんだ
あれ、僕には風は吹いていないなって
ぎゅっと抱きしめたんだ
大人になっても風を待っていて
幼い心、大切な今を忘れないでいて
人は誰も待ち望んで
そして誰も忘れていく
子供の頃追い続けていた夢さえ
忘れてしまったの
あの頃なら見えないもの
疑わずに信じれてた
くもり空は時間と共に積もるだけ
しずくになる
愛ってそんなもんかって
くだらなくなって君を捨てたあの日
誰よりも哀しんでたのは
二人を巡り会わせてくれた奇跡
子供の頃ならゴメンねって素直に謝れてた筈なのに
大人を気取った分だけ僕は子供になってしまったみたいだ
強く強く、
在りたいと願う程に弱くなっていく自分
嫌いだと嫌いだと、
そんな僕を君は「好きだよ」って
雨よ降ってくれないか
音を掻き消してくれないか
自分の心臓の音聴くのは疲れたから
なんてさ
くだらないね
死ぬ勇気もないくせにね
あの日僕が忘れたフリした想出
空は晴れない
あの頃しか見えないもの
あの頃なら見えてたもの
くもり空は時代を避けて蹲る
涙になる
この少女もいつかは
大人になって恋をして
レインコートを脱ぐ日が
来てしまうのだろう
風は吹かないのに
「風を待ってるの」と
僕に似ているけど
僕にはならないでね
あの笑顔も
あの自分も
もう今では戻らないの
それでもいい
ただ必死に生きていたい
そう思えるの
人は強くなれるのかな
強くなくちゃいけないかな
くもり空は僕の心に積もるだけ
しずくになる
涙になる
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