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たった一つの、物語。
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作詞 緋色 |
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また彼方は 突然消えるの。
コレは、必然?
目がさめないの。静かなこの世界の中で。
ただの深い夢に、なにを留まるの?
たった一つ、幻覚の中で。
≪それならば。≫
ここへ来なさい?いますぐに。
悲しみも夢も。
全て、消し去ってあげる。
そして。
ゆっくりとまた。眠りましょう?
静寂がしきりに泣く、この幻覚のなかで。
彼方は幻で。私は現実で。
息づく場所は、まったく別で。
どれだけ傷を負わされても。
逃れられは、しないのだから。
囚われのオヒメサマはきっと――。
長い、永い。
「夢」を見るだろう。
その蒼い、瞳の中に。
色づいたまま。消えることのない。
鮮やかな、彼方の姿が。
さぁ、もう一度だけ。
選択の余地を、与えましょう?
これは必然。けれど宿命。
それなら。
今に呆れをなしたなら。
全てを壊してしまいましょう?
何も残らぬように。
そうすればきっと。
この止まない痛みも。
必然とともに、消えうせるはずだから。
声も。何も。
聞こえない――。
深い深い、海ノ奥底で。
一つ、願いましょう?
どんなにあがこうとも、叶わぬ夢を。
続きとともに 彼方はまたきえるのね?
悲しみをこえて 呆れを生んでしまったモノに。
もう、この先など、ないの。
冷たくなった心に 光は宿りはしない。
もう。
戻れはしないわ。―――それでも。
ココに来るというのならば。
全てをここへ、引きずり込んであげる。
声も届かぬ、嘆きの場所へ。
悲しみもなくなる、けれど――。
きっと彼方は、後悔するでしょう?
けれど。
もう遅い。
全ては過ぎ去った追憶よ。
今サラと、自分自身に突き放されるだけよ。
そして淋しさは嘆きに変わるでしょう。
だけど。
≪サヨナラ―――。≫
最後の言葉は、海へと消えるの。
ただ、脆く。一度、刹那に。
≪曖昧なものは、捨ててしまいましょう?≫
この言葉には、気をつけて?
それはきっと嘆き姫ノ。
悲劇へと導く、最後の誘いだから。
――――そして、物語は幕を閉じた。
一人の少女の嘆きとともに――――――。
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