|
|
|
ピカソ
|
作詞 真皐 |
|
目覚まし時計が鳴いて 目を開けて体起こして
フォーク持つ前に 絵具と筆を手に取った
白い板のステージで踊る バレリーナのお姫様は
十二着の服の着たり脱いだりを繰り返していた
この頭脳にも用量という制限があるのなら
時間の一部を切り取って この箱に閉じ込めるよ
貴方はこの行為を魔法と言うけれど それなら
誰にでも使えてしまうよ
目の前に居る 忘れたくない貴方を
今 箱に閉じ込めてしまおう
窓の隙間から覗き込む 林檎が夜を知らせて
鳥が鳴く前に 筆を置こうとつぶやいた
パレットの上を飛び回る カラフルな五人家族は
二つの針が触れ合うのも見届けず働いていた
この日々にも時間という法則があるのなら
宇宙の角から切り取って ゴミ箱に押し込みたいよ
貴方もこの行為を願っているけれど それでも
僕らは無くなってしまうよ だから
目の前にある 消されたくない形を
今 箱に詰め込んでいくよ
冷えた体を持ち上げて 目を閉じてそっと寝かせて
雨が降る前に 貴方は箱に入っていった
あれから百年たった今でも 笑顔は崩れていない
針が折れたこの箱の中で 二人が離れることは無いだろう
|
|
|