|
|
|
1
|
作詞 かいかい |
|
何回まわったのだろう この秒針は
ホコリの数だけ時間を重ねて また1mm
足音がひとつ増えて僕らはふたり
うす汚い部屋も絶妙な部屋に変わりつつ
ただひとつ 手の届かない掛け時計
古ぼけたそれを覗き込む 爪先立ちのその背中
「何年も一緒に生きていけそう」だなんて呟いて
言葉と体があいまって 歩幅は拡がりを見せて
足跡は多少のズレさえなくなった
後ろからつづく直線が 無限のベクトルを持てば
どこかに隠れたざわめきも消えるのに
空然が脳裏に住んで 白髪も増えた
目覚めの時間は午前の 5時半あたり
こうやって始まりは早まるばかり
台所が香る 嗅ぎなれた朝の食卓
すする音 向かい合っては微笑んだ
湿気た木の柱に弾ませた 会話のリズム 手の仕草
「そうよねぇ私の味はあなた…」って何で途切らせたの?
たった一滴の涙で 君の細胞がひとつでも
息を吹き返すとチャンスをくれるなら
秩序を乱してみせるよ 無限の一滴をあげる
枯れることなんて知らないフリをしてね
まぶたは偉大だね 何でも映し出す
君も偉大だね 気付かせてくれた
失くしたモノなんて 無数に存在している
残ったモノなんて要らなかったりする
でも残したいモノくらいに 大切なモノは無いんだ
ほんの一握り あの時の背中だって
|
|
|