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弐千六年拾月弐拾七日金曜日正午拾弐時四拾五分頃
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作詞 秋時雨 |
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弐千六年拾月弐拾七日金曜日午前九時五拾分
壱時間目英語が終わった
次は・・・柔道か
着替えよっと
ぽーん♪
『弐年五組秋時雨君x弐。至急職員室の担任のところまで来てください』
なんだー??
一瞬あのことが頭をよぎる
慌てて職員室へ
案の定「じいちゃんの容態が悪くなった」と言う連絡が香川からあった
教室に戻り柔道着から制服に着替える
思うように体が動かない
駐輪場まで走る、走る、走る
口の中がカラカラだった
家までチャリをとばす
いつもの道が長く感じる
長い・・・長すぎる
家に着くと母さんと妹がいた
父さんはまだ会社らしい
十壱時半をまわって父さんが帰ってきた
荷支度をする
さぁ行こうという時
父さんの携帯が鳴る
嫌な予感
「もしx弐?・・・うん。・・・・うん。・・・・・・あ〜・・・。」
父さんの落胆した顔
何気なく時計に目をやる
「拾弐時五拾分」
亡くなったのは「拾弐時四拾五分頃」らしい
香川へ向かう車の中
みんなの空気が重い
父さんは珍しく追い越し車線をとばす
福岡を出て約五時間後
葬儀会館に着く
父さんの足取りが速くなる
「○○の間」
じいちゃんがいた
テレビでよく見る白い布
そこでようやく
身体に異変を感じる
顔が濡れている
目から抑えていた感情を突き破って体液が出る
父さんが布を取る
薄っすら開いている目
焦点は合っていない
身体に触れるのが怖かった
もうじいちゃんではなかった
弐日後
じいちゃんは「灰」になった
よっぽど灰を食べようかと思った
思い留まった
今は納められる墓を待ちながら骨壷のなかにいる
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