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食卓に船
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作詞 u.hashimoto |
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焼き魚を毟る手
ふと止めて
父さんが何か思い出した様に
問い掛ける
ははもあたしも答えない
船の汽笛の様だ
ときょうも父の声を
とうぜんの様に受け流す
だけど
きょうの問い掛けはやけに長い
尻の切れたトンボみたい
やたら尾を引く
やっと気づく
あぁあたしだ あたしの事なんだ と
慌てて箸を休めて
父に顔を向ける と
「どうなんだ 彼とはうまくやってるのか」
と
さりげないそぶりで聞いてくる
「ううん もう 別れたよ」
とっくに昔の話です
しかし父は
「そうか」
自分の事みたいに残念そう
肩を落とし
「茶をくれ」
また汽笛みたいな音を放つ
どうせおんなじ気まぐれの日常なんだ
ラジオみたいな父との会話は
すぐ済んだ
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