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心の賞味期限
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作詞 雫依瑠子 |
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幼い頃に、全ての基本として元気よく唱えていた「あいうえお」。
そこに隠れている「愛」という言葉に、
今更のように気づいては、
今更のように息を呑む。
神様の退屈しのぎとして、たまには時計が止まる事もある。
ドラマのBGMが途切れるあの瞬間。
そんな場面を、
世の中は「運命」と呼び、
強く強く「懸命」にそれを引き寄せようとする。
―君と僕が出逢ったのは、
同じ柄が逆を向き合うトランプカードの上だったと思う。
君も僕も互いにダイヤのジャックで、
姿形、全く一緒なのに、
日中は相手の顔を見る事すら許されずにいた。―
たまに夜になると、
オルゴールの中に駆け込んでは素早く中から鍵をかけて、
夜が明けるまでいつまでも話をした。
そんな日々、
二度と戻らない、
くだらない日々。
今は何を言っても逆効果、な彼女も、
本当は一人の少女だったんだろう。
彼女をそんな風にしてしまったのは、紛れもないこの僕だった。
清潔な衝動には正直であろうとしたせいで。
香り水が引き当てたそのエピソードは、
今、ガラス瓶の中へ。
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