|
|
|
単純な絵
|
作詞 Dr.Fear |
|
僕の心にある画廊には
曖昧な抽象絵画が
ずらりと並んでいる
左脳から持って来た言葉の筆で
時間をかけて描いた作品
でもいざ値踏みしてみると
いつもうんざりしてしまう
目のやり場に困れば
僕は天井を見る
爪先立ちで手を伸ばし
天井に飾られた
一枚の絵を手にとる
それは展示された絵の中で
もっともシンプルな一枚
作品名は「好き」
画廊のつき当たりには扉がある
君と僕の行き交いのせいで
錆びて軋んできた扉
その向こうに
君までつながる螺旋階段がある
昔あった「一方通行」の標識
今はもう見当たらない
僕はお気に入りの一枚を担いで
階段をのぼる
原色だけ使われた
シンプルな絵だけど
曖昧な言葉など
ひとつもない
螺旋で遠回りした疲労も
階段をのぼりきれば
爽快感に変わる
君がいつもお返しにくれる一枚の絵
作品名は「私も」
言葉で飾った絵は埃をかぶるけど
シンプルな絵はいつも僕によって運ばれる
すぐ君に会いたがるこの絵を
大切に抱きしめて
今日も遠回りな階段を登る
君と階段でばったり出くわすのを
ちょっと期待しながら
|
|
|