|
|
|
ぬいぐるみ
|
作詞 高倉 悠久 |
|
部屋の隅っこにぬいぐるみ。
ボロボロで、
「もういらないでしょ?
誰か小さい子にでも譲ってあげたら?」
とお母さんに言われたぬいぐるみ。
私、昔はそのぬいぐるみ宝物だったのよ?
それは、大切な人からもらった大事な思い出なのよ?
お父さんが、私の誕生日に
このぬいぐるみくれたの。
何なのかも分からない、
歪な形のキャラクター。
でも、それから一週間もしないうちに、
お父さん、何処かへ行っちゃったわ。
お父さん、お母さんを泣かして、私をぶって。
その日、お父さんの部屋の扉
ノックして入ったら、
お父さんの使ってた机、棚、
すべてのものがもう無くって。
お父さんも居なくって。
あの時の面影はもう無かった。
「なんで?なんでなの?
お父さん、私のことが嫌いなの?
このぬいぐるみをくれた意味は何だったの?」
あの日ぬいぐるみに問いかけたけど、
ぬいぐるみの目は冷たく、黒かった。
ぬいぐるみの目は今も冷たく、黒く。
部屋の隅っこのぬいぐるみ。
ボロボロで、
だけどずうっとそこに
あり続けるぬいぐるみ。
お父さんのこと、私が忘れてしまわないように、
真実だけを伝えてくれる、
ぬいぐるみ。
|
|
|