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赤い傘
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作詞 碧雲 |
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いつもの道で
いつも出逢う少女は
いつも嬉しそうに“それ”を差している
『雨に見捨てられた街』
人々がそう呼ぶ街で
少女の差す“それ”だけが楽しそうに回ってる
灰色の街で回ってる
「何がそんなに嬉しいの?」
少女は僕の問いにただ微笑んだ
僕はその微笑みの意味が分からなかった
何時からだろうか
僕の中から『嬉しさ』という感情が消えたのは
何時からだろうか
僕の中から『微笑み』という表情が消えたのは
雨に見捨てられたこの街は
そんな僕の問いなど聞いてはくれなかった
長い年月がたったある日
彼女は『嬉しさ』という感情を失い
『哀しさ』という感情に支配されてしまった
彼女と共に嬉しさを分かち合っていた“それ”は
醜く拉げても尚
道の隅で何も言わずただ彼女を待っていた
微笑みを取り戻して迎えに来てくれると
ひたすら彼女を待っていた
「何がそんなに哀しいの?」
彼女は僕の問いにただ泪を流した
僕はその泪の意味がわからなかった
何時からだろうか
僕の中から『哀しさ』という感情が消えたのは
何時からだろうか
僕の中から『泪』というものが消えたのは
彼女を待つ“それ”は
そんな僕の問いなど聞いてはくれなかった
雨に見捨てられた街に
初めて雨が降った時
彼女は走っていく
道端に捨ててしまった“それ”を探しに
ただひたすら走っていく
その頬からは
今までのとは違う
泪が流れていた
何故か分からないけど
その泪が僕の頬にも流れいていた
僕は気づいた
“それ”は知っていたんだ
ずっと昔から僕らが待っていた言葉を
『おかえり』
雨に混じって聞こえた
赤い傘の声
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