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真空の人魚
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作詞 斗望 |
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繋がらない手を見つめ 見えない貴方の色を探る
落ちて報われない氷雨に浸り 慾に溺れる底無しの愛
君の手が俺の首に触れる事を 恐怖と解れぬうちに涙が伝う
崩れ落ちた像の先には 凛と咲くあの頃の君も枯れ果て
翳す傷をただ見つめ合って 隠す理由をただ探り合って
縫い合わせた唇を待ってる 疲れ閉ざした瞳を待ってる
旋律と呼べた音も今は暈やけ 反響する叫びだけが無から俺を救う
熔けだした言葉が指の間をすり抜け
口を開けた白きあの日へと傾れ込む
俺が抱いた花があの時この場所で
確かに腐敗を始め俺の身体ごと死んだ
空に憧れて君は手を伸ばす 風に靡く髪が視界から消える
「光の中で眠れるなら」と紅き軌跡と共に落ちた空を映す海
底では孤独と眠れぬ脳が疼くだけの君の手が 俺の顔をなぞる
呟く言葉は悲哀に包まれまた感情ごと罅割れ 消えていく
流れ出る嘘をまだ愛し合って 繋ぐ鎖をまだ握り合って
やがて開く君の唇を待ってる 咲くことの無い俺の世界で
「海の底から見上げるあの空は 君が憧れたものだっただろうか」
「ここが虚偽と理想の亡骸だと 君はもう気づいているだろうか」
旋律と呼べた音は今は霞み 反響する慟哭だけが無から君を産み出す
溶け出した言葉が俺を貫き
口を開けた鈍色の過去へと誘う
俺が抱いた君の身体が離れ
熔けだした言葉が指の間をすり抜け
二人で歩いた白きあの日へと傾れ込む
俺が抱いた花が今 この場所で
確かに再生を始め俺を殺した
瞳を開き俺見た
手を伸ばし 俺の首に触れた
君はまた瞳を閉じ 力無き手を離し
沈んでいく
微かに微笑んだ君の顔が忘れられない
忘れられない
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