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再孵
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作詞 斗望 |
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愛を欲して抱きしめる
浮かぶ笑顔は偽り
影も容も解らない歌と広げた両手
その眼は何を見ている
ゆっくり動きだした 歯車に巻き込まれて
抜け出せずに 抗うまでも無く千切れて
叫びを掻き消す あの笑い声に
必死に 必死に 嘘をついた
ああ 唯今だけ歌う詩が 在るとしたら
それは絶望の中に 差し込んだ光などと
偽りの言葉を投げて 微笑むのだろうか
嘘を欲して笑いあう
涙は見てはいけないのだろう
宿る命に答えが在るのならば
その廻りも何れ途絶えるのだろう
繋がれた足の痛みに耐えながら 自由な両手で
空を仰いで これから繰り返す命の旅へ
自ら飛び込むその 真っ直ぐな瞳に
映る炎の十字架
ああ 孵れない黒い翼を待っているのだ
それはいつか無に還るというも切望の内
偽りの願いを捧げ続け いつか果てるまで
ああ 焔の中で歌う詩が 在るとしたら
それは絶望の中に 返り咲く白い花のようだ
「綺麗だね」
そう呟いた影を見据える 遠くで歌い続けるのだろうか
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