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白い海
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作詞 斗望 |
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離れた指先に再び触れることはないから
胸に引き戻した行き場の無い感情と涙と共に
深い海の底で静かに眠る君と僕
眠りを妨げるのは赤
触れた眠る君の頬は温度は無く
撫でる髪も深い夜の闇に靡く
目覚める君が僕の腕をひき引裂く
感情の欠片が宙に舞う 赤く紅く
動かぬ口に両手を
見開かれる瞳に愛を
首を胸に抱き寄せて優しく撫でる君
身体が滅びる日が来てもずっと同じ処に
広い闇の世界の中で僕等は抱き合った
天を見上げると暖かな日差しが
それでも僕等には在るべき場所の存在の導
捨てた真実に触れるのは罪が深すぎる
闇に塗れて朽ちていく傷口が物語る説
欠ける月が水面に映ることさえ知らない
あの日震えた僕はいない
あの日落とした雫は波に溶けた
次の夜も次の闇も次の朝もずっとふたりで
あの頃の記憶は耐えず進化し
今の僕等を映し出す
見渡す世界は白
色を無くし君を無くし僕を無くし
鮮やかで君がいて僕がいる
深い海の底で眠る君を思う
あの日失った君を沈めた世界を
そして僕が君の手を繋ぎ眠る世界を
君と僕の指がほどけた世界を
ふたりを失った世界を思い 欠けていく 朽ちていく
まだ君の無くした声の響く闇が恋しい
暗く広い永久の世界で抱きしめ続けた身体
繫がる鎖も錆びて果てる
それでも僕等は忘れない
僕等の世界を 僕等のいる場所を
冷たさを暖かさを憎しみを憎悪を愛も闇も孤独も声も
離れた指先に再び触れることはないから
胸に引き戻した行き場の無い感情と涙と
全てが僕等の景色に
繋いだ永劫の闇の中で光る僕等の約束と記憶
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