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残り灯
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作詞 斗望 |
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弧を描く窓はどこへ繫がるのか
世界の果てなど誰も知らぬのに
伝説が語り継がれるのは何故か
夢ほど薄く儚いモノはないと
昔誰かが悟った
幼いほど懐かしく思える面影は
誰かに塗り替えられ形を変える
それが誰なのか
知りえるモノはどこにもいない
流れる涙の温度は
どれほどに優しい感情が在る
溢れる希望を胸に抱き
駆け出す少年の背中を見送る
「皆に幸福を」
遠い歴史を求めて
人々の為にあの子は向かう
傷から溢れる憎悪に抗い続け
やがては朽ち果てると告げられた
身体を引き摺りながら
悪意の視線に貼り付けられ
火に包まれる呪われた身体
這いずる痛みと
最後に見たモノの名を
唱え続け 尽きたという
夢を追い続けた少年は
安らかに眠り続ける
手がかりとなるモノの名を
知るものは誰ひとりいない
眠る少年の手に握られたものは
一粒の涙のような欠片
強く生きぬいた過去の記憶を
塗り替えられるモノは誰ひとりいない
眠るその頬に手を当てて
語りかけるように微笑む
この子の生で世界は何を見た?
この子の死で世界は何を得た?
問いかけても答えはなく
ただ悲しいほどに
綺麗な景色を望める窓に
冷たい風が吹きつける音だけが響く...
ただ零れゆく痛みの粒が
この子が握っていた欠片に溶ける
僅かな傷が開きだし
目を覆うような残像が映る
揺れ動く炎 悲痛の叫び
穏やかに過ぎていく時間の中で
失った子の 痛みの記憶が
心の中で静かに疼く
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